ファッション

日本で買える環境に配慮したジーンズブランドまとめ

履き心地が良く長持ちするジーパン。カジュアルな服装OKな職場が増えてきて、毎日履く人も多いと思います。すっかり日本でも欠かせないアイテムになりましたが、実は環境にめちゃくちゃ負担がかかるアイテムだと知っていましたか?

ジーンズは、コットン(綿花)からデニム生地(糸)を作って染色し、縫製したあとに加工して仕上げますが、1本あたり約1,500リットルの水を使用していると言われています。洗濯機を30回まわせる水量に匹敵し、世界中に供給されていることを考えると環境には大きな負担がかかります。また、コットンの栽培にあたって大量の農薬が使われることにより、土地が汚染されるだけでなく、農場で働く人たちの健康被害も深刻

ということで、ジーパンを選ぶ際には、製造に関わる人に正当な賃金を支払われているか、というポイントに加えて、水と農薬の使用について配慮されているかも注目すべきポイント。

日本でも買えるエシカルでサステイナブルなブランドをまとめてみました結論、私のおすすめはNudie Jeans(メンズ・レディース)、Levi’s(メンズ・レディース)、People Tree × Lee(レディースのみ)の3選です。

Nudie Jeans (メンズ・レディース)

Nudie Jeans 名古屋パルコ店

2001年に元Leeのデザイナーがスウェーデンで始めた新しいブランド。 「最もサステイナブルなデニム企業になること」をビジョンに掲げ、コットンはすべてインド産のフェアトレード認証・オーガニックコットン(農薬を使わずに製造されたコットン)認証を得たものを使い、 「SAVE BLUE」をコンセプトに染色で使われる水を55%削減している企業を主な仕入れ先とするなど、 人にも環境にも優しいジーンズを追求しています。環境への負担をさらに減らすため、リサイクルコットンの使用も増やしていっているそう。

驚いたのは、ヴィーガンOKなジーンズであること。え、むしろ普通のジーンズって動物性なの?!と思ったら、そういえばジーンズには革パッチが着いていた!盲点。

「ヴィーガンのみんな、牛はやめたよ」と店内にもポスター(公式サイトより)

Nudie Jeansでは、革パッチを特別な紙でつくっているので、ヴィーガンやベジタリアンの人も妥協することなくジーンズを楽しめます。全方位へ配慮された製品、すごいですね。英語の公式サイトでは、サステナビリティに関する方針や進捗状況、今後の展開など詳細に報告されている点も言うことなし。

価格帯は2万~3万円台と高めですが、セールでは50%OFFなど大きな割引もあり、長く履いてほしいという思いから無料で修理してくれることも加味すると決して高くないと思います。修理無料って環境配慮への本気度が伝わりますよね。シルエットはメンズも含め細身のものが多いです。日本の直営店は以下。オンラインでもこちらから購入できます。

  • 東京(ラフォーレ原宿・ルミネ新宿)
  • 千葉(OUTLETS 酒々井プレミアム・アウトレット)
  • 名古屋(パルコ)
  • 大阪(なんばパークス、グランフロント大阪、OUTLETS りんくうプレミアム・アウトレット)
  • 神戸(goteborg kobe)

Levi’s(メンズ・レディース)

全国で買えるデニムブランドから選ぶならLevi’s(リーバイス)がおすすめ。20以上の節水技術を編み出し、その技術は業界内でも惜しみなく共有しているそう。いまLevi’sの全商品の67%が、これらの節水技術を使って製造されていて、2020年までに80%まで引き上げることを目標に掲げています。ちなみに、ジーンズの製造で最も水を使うのは染色と最後の洗い加工(色を落としたりするため)らしいですが、この節水技術によって、洗い加工の水を通常の最大96%削減できるとのこと。Levi’sのように莫大な投資をする余裕がある大企業には、こうした技術革新を牽引してほしいですね。

コットンについては、より持続可能な形で綿花を栽培しようという世界的な取り組み「Better Cotton Initiatives(ベター・コットン・イニシアチブ)」に2010年から参加し、より少ない水と有害物質でより多くのコットンを生産する技術を農家に研修するなど、従来のコットン生産からの脱却をはかっています。Betterなコットンではあってもオーガニックコットンのような厳しい基準をクリアしたものではなく、また、ベターコットンの使用もまだ全体の2割という点では、Nudie Jeansに大きく劣りますが、たとえ完璧でなくても、Levi’sのように桁違いに生産量の多い企業がベターコットンの使用を増やしていくことには大きなインパクトがあります

一方、生産者の待遇については大きな課題があります。ニューヨーク大学の研究(2019年5月)によると、エチオピアの繊維工場で働く人たちは月26ドル=世界最低賃金で服を作っていて、その取引先がLevi’s、H&M、GuessTommy Hilfiger、Calvin Klein。26ドルはエチオピアで暮らしていくために最低限必要な生活賃金(約110ドル)の3割に満たない収入です。 日本に置き換えると、フルタイムで働いても4万円しか支払われないイメージ(生活保護の3割で計算)なので超ブラック。エチオピアでの縫製が一部であったとしても、搾取への加担は否めないですね。

Nudie Jeansと比較して、全体的に文句なしの推薦はできないのですが、大手ブランドのなかでは (ほかにLee、EDWIN、DIESELを調べて) 最も頑張りが伝わったブランドでした。今後の更なる改善に期待したいです。

People Tree × Lee (レディースのみ)

People Tree 公式サイトより

日本のフェアトレードの先駆者、サフィア・ミニーさんが立ち上げたブランドのPeople Tree(ピープルツリー)とLeeのコラボ商品もおすすめ。インドのオーガニックコットン農家を支援する団体「アグロセル」から直接原綿を日本に輸入し、日本国内のLeeの工場で紡績から最終加工まで行っていて、オーガニックコットンとフェアトレードの両方を満たしたジーンズです(Leeの通常商品は別)。レディースのみですが、形のラインアップは豊富です。価格帯は14,000円~24,000円。店舗での取り扱いが少ないので、気軽に試着できないのが難点(People Treeの取扱店一覧はこちら)。私は白のスタンダードスキニーを愛用してます ^ ^

日本に進出してほしいブランドはOutland Denim

最後に、日本にぜひ進出してほしいブランドを紹介。オーストラリアのOutland Denim(アウトランド・デニム)です。メーガン妃が愛用していることでも注目を集めています。Outland Denimは、人身売買・人身取引がテーマの映画を見て衝撃を受けたJames Bartleさんが、実際にアジアの性産業の搾取の実態を視察するなど調査を続け、少女たちのために何かしたいと立ち上げたブランドです。カンボジアの搾取を経験した女性など脆弱な立場にある女性たちをジーンズの作り手に育成し、搾取されずに生きていける選択肢を作っています。環境への配慮にも力を入れていて、従来の製造方法より65%少ない水量で、有害な化学物質は使わずに製造。コットンはオーガニックコットンとベターコットン、リサイクルコットンを組み合わせて使用しています。映画をきっかけに起業してグローバル企業にまでなる情熱と能力がすごい。生産者のエンパワーメントを目的に作られた他にないデニムブランドです。日本にも早く進出してほしい!

ABOUT ME
ふまね
0歳の娘をワンオペ育児中の33歳です。すきま時間に倫理的(エシカル)な選択をするための調べものをコツコツ発信しています。 詳しいプロフィールはABOUTから