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スーパーで買えるフェアトレードのバナナ3選

忙しい朝でも手軽に食べられるバナナ。価格も1袋に4、5本入って98円~と手頃で、日本で一番食べられている果物だそうです。日本は果物が全体的に高いなか、なぜバナナは安いのでしょうか?輸送コストも考えたらバナナ農家さんたちはちゃんと収入を得られているんだろうか…そんな疑問も湧いてきます。

買わないで!「甘熟王」の生産者たちが、日本の消費者に訴え

そうした不安を裏付けるようなニュースが2019年6月に報じられました。「甘熟王」で知られるスミフルのバナナ農園で働いていたフィリピン人たちが、劣悪な労働環境や人権侵害を改善するため来日し、日本の消費者にボイコットを求める記者会見を開いたのです。1日に16時間働かされたという劣悪な労働環境や、5年も働いて正社員になれるはずのところを、短期雇用契約が繰り返されて有給休暇もないといった問題が訴えられました。さらに、改善を求めてフィリピンでストライキを起こしたところ、一人は何者かによって殺害され、ストライキに参加した700名余は不当に解雇されたといいます。すごいブラック企業…。

この件についてスミフルフィリピン社の対応は一貫して消極的で、フィリピンの労働雇用省が呼びかけた労働組合との仲裁会議も一方的に欠席するなど問題と向き合う姿勢は見られません。スミフル・ジャパンの見解も同様で、2019年7月に「違反する事実はない」と公式サイトに発表。そのまま輸入・販売を続けています。

フィリピンの労働者が来日してまで日本の消費者にスミフル商品のボイコットを訴えたのは、日本での売上に影響がでない限り、スミフルが問題解消に向けて動くことは期待できないと考えたからです。つまり、スミフルの商品を日々買うことは、このブラックな体制の存続に間接的に加担することになります。スーパーで「Sumifru」のロゴがついた商品(「甘熟王」「朝のしあわせバナナ」「おやつの王様」など)を見かけたら、それでも買いたいか考えてみてください

バナナ農家や工場労働者の搾取にはもちろん加担したくない。でも、かわりにどれを選べばいいの?「フェアトレード バナナ」で検索すると、オンラインで買えるものはいくつか出るけれど、バナナは熟れるのも早いし、できれば1房ずつスーパーで気軽に買いたい…。そう思って各ブランドを調べまくり、スーパーで買えるフェアトレードのバナナをまとめました。結論は、田辺農園のバナナ、ユニフルーティジャパンのバナナ、ファーマインドのオーガニックバナナがおすすめです!

おすすめフェアトレードバナナ3選

田辺農園のバナナ

◆価格目安:1袋200円台
◆販売場所:マルエツ、成城石井、ローソンなど(ローソンでは1本売りもしてます)

日本で消費されているバナナの80%がフィリピン産、15%がエクアドル産と言われていますが、田辺農園のバナナはエクアドル産。広島出身の田邊正裕さんが、16歳でエクアドルに渡り、40歳目前で始めた農園だそうです。環境保全や労働者の生活向上など厳しい基準をクリアしないと取得できない国際認証「レインフォレスト・アライアンス」と「グローバルギャップ」を取得しています。除草剤や殺虫剤は一切使用せず、化学肥料も使わない代わりに、ミミズによる土づくりと廃棄するバナナを発酵させて肥料にしているそうです。

日本にはANAフーズが独占契約をして輸入しているのですが、公式サイトを見てみると…

近隣からエクアドル人約600人が集まり、正規雇用で一緒に働いてくれています。

聞いたかスミフル!こういうことだぞ!(笑)働くスタッフのために専用バスで朝夕送り迎え&社員食堂で日替わりランチ付きと福利厚生も充実(涙)肝心の味はめちゃくちゃ美味しいです。詳しい商品説明は公式サイトから。

ユニフルーティジャパンのバナナ

◆価格目安:1袋198円~(『ごほうびバナナ』『最高峰バナナ』など幅広い価格帯で展開)
◆販売場所:西友など(販売一覧

元々はアメリカのバナナ生産・販売大手「チキータ」のバナナを取り扱っていたユニフルーティジャパンですが、企業戦略を刷新して2018年にチキータの取り扱いを終了。人と環境に配慮した農園で栽培したバナナなど目線を変えたオリジナル商品を展開するようになりました。
全7商品のうち、「しあわせバナナ」「最高峰バナナ」「金の房」「ごほうびバナナ」「こだわリッチバナナ」の5商品は、田辺農園でも紹介したレインフォレスト・アライアンス認証を取得。人と環境に配慮していることを全面に打ち出していて、フェアトレードのバナナと考えてよいでしょう。ユニフルーティのバナナは甘くてもっちりしたものが多いです。

ファーマインドの「有機栽培オーガニックバナナ」

◆価格目安:1袋198円
◆販売場所:西友など(販売一覧

ファーマインドの「有機栽培オーガニックバナナ」は、メキシコ産バナナとして初めてフェアトレード認証を得たColiman社のバナナ。ラベルに印字されたColimanのロゴから本社の公式サイトなどを調べてみました。Colimanは1963年に創業した家族経営の企業で、オーガニックでフェアトレードのバナナを生産している企業です。質の高いバナナを作り続けるには、従業員が健康に働けることが大切という考えのもと、安全な労働環境の確保に努めてフェアトレード認証を取得しているほか、環境への配慮から農薬・化学肥料は使用しておらず、レインフォレスト・アライアンス認証も取得しています。英語ですが、以下の動画からも従業員や環境を大切にしていることがよく伝わってきます。

田辺農園やユニフルーティのバナナと比べると、甘さ控えめでさっぱりしている印象。ファーマインドは他にもいくつか商品を展開していますが、Colimanのバナナは「有機栽培オーガニックバナナ」と書かれた緑のラベルのものだけです。

以上、スーパーで買えるフェアトレードのバナナを紹介しました。ちなみにバナナ最大手のDoleの評価ですが、そもそも搾取的なバナナ産業を確立したのがドール社なので、私は他のバナナを応援します。詳しくは、バナナ農園の搾取のからくりを綿密に調査し問題提起した80年代の名著「バナナと日本人(岩波新書)」に書かれているので、関心のある方は読んでみてください。誰かを踏み台にすることなく、美味しいバナナづくりに励んでいるブランドを毎日の食卓から応援していきたいと思います。

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ふまね
0歳の娘をワンオペ育児中の33歳です。すきま時間に倫理的(エシカル)な選択をするための調べものをコツコツ発信しています。 詳しいプロフィールはABOUTから